東京家庭裁判所 昭和28年(家イ)2232号 審判 1953年10月16日
国籍
アメリカ(ニユージヤージー州)
住所
東京都○○区
申立人
ウイリアム・ピカツト(仮名)
国籍
アメリカ(ニユージヤージ州)
住所
申立人に同じ
相手方
メアリー・ピカツト(仮名)
(代理人 エドワード・メイ(仮名))
右当事者間の離婚等事件について、当裁判所は申立書及び当事者双方の陳述に基いて、日本国法例と夫の本国法である米合衆国ニユージヤージー州の離婚に関する法律並びに日本国家事審判法を適用して次の通り審判する。
主文
一、申立人と相手方は本日離婚する。
二、申立人と相手方との間に出生した未成年者リチヤード・ピカツトの親権者を相手方と定める。
三、申立人は本審判確定後第二項の未成年者の監護料として月四〇ダラ宛相手方に支払うものとする。
四、相手方は申立人の特有財産を本審判確定後返還するものとする。
五、申立人と相手方との離婚に際する財産関係の処理は当事者双方の協議によつて解決したものとする。
六、事件費用は申立人の負担とする。
(家事審判官 近藤綸二)
申立の趣旨
申立人は相手方との離婚の調停を求める。
事件の実情
1 私は一九四四年八月○○日相手方とニユージヤージ州○○○○○で結婚しました。当時私は米陸軍におりました。私は一九三九年に陸軍に入りました。
2 私は一九四六年日本に来ました。相手方は一九四七年でした。私は一九四九年に陸軍をやめ、一度米国に帰り一九五〇年一〇月再度日本に来ました。相手方は一九四七年から一九四九年九月まで日本におりました。相手方と居りましたのは神戸であります。
3 私と相手方とは結婚以来和合しません。相手方は私が他の女を愛しているといつて私を非難します。私が相手方と一緒に外出しますと相手方は他の女を見ないでといいます。私が他の女にグツドイブニングとかハローとかいうと相手方は私がその女を愛していて自分を愛していないのだと申します。パーテイに一緒にいつても常に相手方は側にいてくれと申し、一寸私が気を散らすとヒステリツクに他人の前で罵言を私に吐きます、私が日曜日に勤めに行つたことがありましたが、実際にしているかどうかをたしかめに来ました。私が事務室で女の同僚の話をしていますと、出勤する訳が解つたといつて私を罵倒し本を投げます。そのため私は失業したことが一度あります。
私が良い夫になろうと考え直すとその日から相手方は私が他の女を愛しているといつて私を非難するのでどうにもなりません。このような事が数限りなく起り家庭も乱れていますのでこれ以上我慢も出来ませんので離婚したいと思います。